研究活動

研究分野

数値解析, 計算機援用証明, 無限次元力学系


キーワード

精度保証付き数値計算, スペクトル法, 有限要素法, 半群理論, 偏微分方程式, 遅延微分方程式, 常微分方程式, 複素微分方程式, 微分方程式の爆発解


概要

数値計算に生じるすべての誤差を把握し、数学的に正しい結果を数値計算によって導く計算法を「精度保証付き数値計算」といいます。私の研究の主なテーマは、微分方程式(偏微分方程式, 遅延微分方程式, 常微分方程式)に対する解の精度保証付き数値計算法の開発です。物理、化学、生物などの諸分野における多くの現象は微分方程式で記述されることが多く、これを解く事が求められます。しかし、微分方程式を厳密に解くことは多くの場合大変難しいです。微分方程式の解を求める場合、まず方程式の近似を考え、得られた近似解を指針にもとの解を得る方法が一般的に考えられます。私の研究では、方程式を解く指針として数値計算で得られた近似解をとり、その近傍に解が一意存在することを数値計算によって検証します。これにより厳密に解く事が難しい問題も精度保証付き数値計算を用いる事で解の存在を証明できるようになります。

これまでの過去 30 年あまりで、多くの研究者が特に偏微分方程式に対する解の精度保証付き数値計算法の開発に尽力され、線形・非線形楕円型偏微分方程式に対する数値解の検証が可能となりました。私は偏微分方程式の解を数値計算する強力な手法である有限要素法をもとに、任意多角形領域上に定義された半線形楕円型偏微分方程式に容易に対応できる手法を開発し、より多様な問題を精度保証付き数値計算できるようにしました。

さらに数理解析学における半群理論(解析半群および発展作用素)を用いた放物型方程式の初期値境界値問題に対する解の精度保証付き数値計算手法を開発し、数理解析理論と精度保証付き数値計算の効果的な融合成果として計算機援用証明の研究に従事しています。また特異点解消理論と力学系のアプローチによる常微分方程式の爆発解の検証理論も構築しました。最近の興味はスペクトル法を用いた遅延微分方程式、一般的な(放物型・双曲型・分散型)偏微分方程式に対する解の精度保証付き数値計算方法の確立と無限次元力学系における計算機援用証明です。


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