※情報科学類 卒研配属該当の皆様※
2024年度配属学生の卒研テーマ候補の詳細については研究室説明会で詳しくご案内いたします.
本研究室は「社会課題解決につながる情報サービス技術の創出」をビジョンに掲げており,それぞれの研究テーマは適用先・実用化を見据えて課題設定を行っています.
【主な研究領域】
(1) 近未来ネットワークサービスの基盤研究
Society 5.0を目指したIoTインフラ,6G,オール光ネットワークなど,近未来のネットワークサービス基盤となる技術の研究開発が進んでいます.この研究領域では将来の基盤を想定した課題設定を行い,その解決方法を提案していくことで,より良い新たなネットワークインフラ更新を加速していきます.
・ハードウェア指紋に基づくセキュアな機器識別技術の研究
膨大な数の配備が必要なIoT機器など,ネットワークサービスを構成するオンライン機器は今後増加が見込まれます.このテーマではコンピュータハードウェア固有の特徴情報(クロック周波数特徴)をネットワーク経由で抽出し,これを機器の識別子として活用することで,オンライン上の機器の信頼性を担保する基盤技術を研究しています.
クロック周波数信号特徴によるネットワーク経由の機器識別システム
・All photonics network(APN)超低遅延アプリケーションの研究
すべてのネットワーク接続を光で完結する次世代ネットワーク,all photonics networkの研究開発が進んでおり,一部のネットワークインフラで提供が始まっております.しかし,APNで提供される超低遅延性は観測が難しいこともあり,その効用を十分に説明できていない現状があります.本テーマでは「遅延」をキーワードとしてネットワークアプリケーションを評価することで,APNインフラの有用性を検討していきます.
・SIMカードの耐タンパー性を活用したSIM Appletの研究
スマートフォンやIoT機器などのSIM通信モジュールを搭載した情報端末は,いまや世界中に展開されています.本テーマでは高い耐タンパー性を有するSIM通信モジュールの機能に着目し,SIM上で動作するアプリケーション(SIM Applet)による情報保護システムを研究しております.
(2) 情報システムによる社会課題解決アプリケーション
少子高齢化,労働力不足が進行する社会において,Cyber-Physical System (CPS)による人間社会のサポート技術が期待されています.私たちはサイバー空間で稼働するAI,DXなどの情報システムと現実空間をつなぐIoTゲートウェイ,ロボット,センサー,アクチュエータなどのハードウェア技術を駆使して,人を取り巻く個々の具体的な困りごとにフォーカスして,その課題解決アプリケーションの創出を進めております.
・通信インフラ設備管理の物理作業を代替するロボットシステムの研究
社会の労働力不足が進む中,通信インフラ事業者の現地での物理的な保守・管理作業が必要なケースで,人手不足により遠方の拠点から技術者を派遣する形態が多く,負担が大きくなっています.このテーマでは,将来の通信インフラ設備の維持のために,従来人手が必要だった物理作業を代替できるロボットシステムの実現を目指しています.
空調の効率化を目指したマシンルーム環境の温度測定ロボット
・学生/生徒の活動情報に基づく指導支援システムの研究
労働力不足は教育機関においても深刻な一方で,その期待される役割として学習・進路指導にとどまらず,メンタル面のサポートまで広がってきています.学生/生徒の学校での活動状況,例えば日々の登下校,授業出欠席,イベント参加有無,バイタルなどの総合的な情報はメンタル異常の判断などの貴重な情報源として期待できますが,多くの教育機関においてこれをリアルタイムに把握・分析して指導に活用することは,人手も足りないため容易ではありません.
このテーマは教育現場で,従来教職員が担ってきた指導の稼働を情報システムによって代替することで,人手不足と質の高い指導の両立を目指しています.これまでの取り組みでは学生/生徒の登校状況をリアルタイムに登録・確認できるクラウドサービスベースのDXアプリケーション「OKPASS」を開発し,一部の国立高専で運用を開始しています.
※OKPASSの商用サービスは株式会社MOOBONより学校向け出席管理システム「
アテンド+」が提供されております
当研究室では,OKPASSシステムなどによってデジタル化された学生/生徒の活動データを用いて,教職員に成り代わって異常兆候を自動的に分析・報告するアドバイザーシステムの研究・開発を進めています.
小山高専,株式会社MOOBONで共同開発した登校管理システム「OKPASS」の概要図
(3) デジタルツイン/メタバース実現支援システム
デジタルツイン,メタバースが活用される時代を見据え,これを支援する情報システムやアプリケーションを研究しています
・進化計算とフラクタルモデルによる3D風景オブジェクト生成技術
近年,デジタルツインやメタバース技術が注目されており,併せて3Dコンテンツの需要も大きくなっておりますが,そのコンテンツ作成は負担が大きい現状があります.このテーマは3D空間を構成するコンポーネントにおいて,規模が大きい背景オブジェクトに注目し,これを自動的に生成する支援ツールを研究開発しております.
・VR(仮想現実)と移動ロボットを用いた没入感覚の研究
ロボットの移動性を用いた試作VRシステムで,人間の体性感覚に訴える没入感覚を研究します.
VRと移動ロボットを用いた没入感覚の研究