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 都市工学は,他の工学と違って,基礎理論が必ずしも確立しているとはいえません.都市をつくるということはどこにどのようなものをつくるか,つまり様々な空間的な意思決定を行うことが根本的な課題です.そして,人々の活動が展開されている空間は,地表面とそのわずかな上部・地下といういわば2.5次元の空間です.都市空間解析研究室では,このような空間の持つ基本的特性を把握することから始まり,立地理論,最適配置理論の構築・高度化,最適都市形態の理論,交通流動と輸送ネットワークの理論,さらに最近はリスク概念を考慮した計画理論・技法の研究を行っています.もちろんこのような理論研究が都市の本質を正しく捉えているかどうかを絶えずチェックするために,現実の都市を綿密に調査分析することも欠かしていません.
 当研究室は,都市工学の基礎理論を築き上げ,空間的意思決定のための理論を追求することに多少なりとも共感し,興味をお持ちいただける方をお待ちしております.これから大学で学ぼうという方も,大学院生として新しい分野を開拓したい方も,あるいは社会人として基礎理論を修得したいという方も,気兼ねなく当研究室(メールはこちら)をお訪ねください. 都市空間解析研究室のメンバーは,学部レベルでは理工学群社会工学類 都市計画専攻,大学院では理工情報生命学術院システム情報工学研究群 リスク・レジリエンス工学学位プログラムの学生です.大学院は,8月(翌年1・2月)に行われる一般入試の他,推薦入試(システム情報工学研究群は7月)による入学方法もあります.入学に関する詳細はそれぞれの学類・研究群のページを参照してください.

.都市施設の立地・配置都市公共サービスの適正化


(研究テーマ例)
古典的立地論と立地理論・施設配置モデル
p-メディアン問題・p-センター問題を基礎とした離散型配置モデルの応用
施設利用圏としてのVoronoi図を応用した連続型立地モデル
少子化と学校統廃合問題
複合施設化による最適施設配置の変化
需要密度と施設密度の理論的関係
利用者の多目的周遊行動が最適施設配置に及ぼす影響
消防・救急医療サービス水準の向上


2.輸送システムの適正化


(研究テーマ例)
最適集配経路・拠点中継点の配置
ネットワーク設計(network design)問題
階層的輸送システムの設計と輸送効率
ハブアンドスポークシステムの連続モデルの開発
流動量とネットワーク整備の適正水準の関係
交通網を有する都市の移動距離分布と移動時間分布
輸送ネットワークが距離空間に及ぼす影響
路線系統の最適パターン


 3.都市空間の性質と望ましい都市空間構造の解明

(研究テーマ例)
分散的集中型都市における土地利用配置計画
都市構造と居住地・勤務地選択・通勤行動
立体都市空間の最適形状と地下空間利用の効用
職住分布構造と通勤・業務交通の理論モデル
交通量を最小化する職住分布構造・職住バランスと過剰通勤(excess commuting)


4.省エネルギー・省資源・環境低負荷・持続可能型都市の解明


(研究テーマ例)
資源・エネルギー危機に対応した超長期的都市空間構造の計画・設計
密度計画とコンパクトシティ・田園都市(ガーデンシティ)の持続可能性
持続可能な都市形態としての多極分散型集中都市と公共交通の役割
生活文化とエネルギー消費の関係の解明
自然エネルギーを利用した省エネルギー都市の可能性
発展途上国における都市化とエネルギー・資源消費の抑制方策


5.都市におけるリスクの分析と評価

(研究テーマ例)
都市生活における日常的・非日常的リスク
救急医療対応システムのリスク評価とドクターカーシステム導入による救命率の向上方策
災害復旧・復興に関する危機管理とリスク・マネジメント
都市成長に起因するリスクと都市成長管理政策
計画・事業に伴う不確実性とリスクの評価
交通・供給処理ネットワークにおける外部性とリスク評価
都市インフラストラクチャーのリスクとメンテナンス方策
リスク管理型公共サービスの評価と改善